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転載元:http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1284190606/


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関連記事:【前編】・【中編】・【後編



358 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/12(日) 00:03:44.09 ID:80eu389H0
漫画描くのってかなり根性いるのな
自分の分身みたいな作品全否定とか
メンタルが強くないと無理だし頼りは自分だけだし

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成功するまで生活できないし
漫画家なっても金はない
社会的地位は低いかもしれないけど
個人的には本当に尊敬できるよ

359 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/12(日) 00:04:50.58 ID:JC6CH3Fx0
アシになろうとしてる俺にはムネの痛くなるスレだな
361 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/12(日) 00:32:33.86 ID:VDTcXNKt0
村上龍曰く、自分は1日12時間原稿用紙と向き合えるし
ハロワの絵を頼んだ新人絵師は16時間描いては寝るという生活だったそうな

漫画家ってバクマンみたくオールオアナッシングな職業じゃないよと言った高遠るいは
高校時代は絵ばかり描いてて、東大出たがブッコロ/リの内定蹴って漫画家になったんだと
364 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/12(日) 01:11:12.09 ID:lPAy/01c0
>ハロワの絵を頼んだ新人絵師

え、あの人新人だったの!?
かなーり好きな絵柄だったからびっくり
360 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/12(日) 00:31:30.88 ID:XCbKEZC60
まだ帰ってこないのか・・・
369 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/12(日) 03:29:26.36 ID:lPAy/01c0
ほしゅううう
375 : 1 2010/09/12(日) 04:01:25.72 ID:Kd5WzAli0
保守してくれてありがとう。
人も少ない時間だけどダラダラと続きを書いていきます。
379 : 1 2010/09/12(日) 04:04:41.53 ID:Kd5WzAli0
それからもCさんとT先生との「やめるか!?」「いえ頑張ります」の問答は何度か続いた。

先生の理屈は今思い返しても全て正しいように思えた。
「頑張ると決めたのなら緊張感を持って」
「ミスするのは緊張感が欠けている証拠」
「どうしてもミスしてしまう体質ならばそれを先回りする工夫を」
などなど。

俺自身その理屈には納得できたし、上手くいくような提案にも思えた。

しかしCさんのミスが止むことはなかった。
381 : 1 2010/09/12(日) 04:09:19.03 ID:Kd5WzAli0
閉鎖された空間に何十時間も一緒にいると、
なんだかある種異様な空気になってくる。
今振り帰るとT先生の容赦のない叱責はどこか常軌を逸していたことが分かるのだが、
当時はT先生が絶対的な存在として他のアシスタントさんの心までも掌握していた。

そういう映画は何本か観たことがあるけど、まさにあんな感じ。


俺自身も何度かCさんに助け舟を出すチャンスはあったのだけど、
T先生 理論を聞いていると、そして他のアシスタントさんがそれに賛同しているのを見ると、
なんだかそっちの方が正しいような気がしてきてきてしまうのだ。



そして、遂にCさんが崩壊する日が来た。
383 : 1 2010/09/12(日) 04:13:46.42 ID:Kd5WzAli0
その日のCさんの怒られ方は特に酷かった。
大袈裟でなく10分単位で怒られていたと思う。
多分「また怒られてしまう」というような焦りが次のミスを生んで、
それによりもたらされた叱責が憔悴を生み、
あとはひたすらその負の連鎖が起きるという感じだったのだろう。

もう誰のどんなアドバイスも通じなかった。
そしていつものようにT先生が「お前やめるか!!?」と彼に怒鳴った。



Cさんはしばらく黙った後、静かに「…はい。もう付いていけません」と言った。

俺は思わず涙がこぼれそうになった。
385 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/12(日) 04:17:23.86 ID:/iFWELUN0
Cさん・・・・・・
388 : 1 2010/09/12(日) 04:18:54.00 ID:Kd5WzAli0
いつもの返答ではなかったことに驚いたのか。
その後はT先生も大人しくなった。

そして急にCさんに対して申し訳なく思ったのか、
優しい態度で「おいおい、ここで投げ出していいのかよ」というような激励の言葉を掛け始めた。


その後T先生はCさんを説得し続けた。
そして、そんな先生の態度にほだされたのか、それとも恐怖からか、
最後にはCさんは「やっぱりもう少し頑張ってみます」と言った。


そしてそれが俺が聴いたCさんの最後の言葉となった。
391 : 1 2010/09/12(日) 04:26:47.98 ID:Kd5WzAli0
次の仕事日。
待てど暮らせどCさんは現れず、連絡も一向に付かないという事態が発生した。
Cさんは仕事場ではかなりの仕事量をこなしていたので、
Cさんがいないとなると仕事は大変なことになるのは目に見えていた。

Cさんの担当編集にも連絡が行き、アシスタント全員で何とか連絡を取ろうとしたが、
携帯はつながらなかった。


そんなことしている間にも締め切りは近づいてくるので
俺とアシさんは原稿に着手する。
その回の仕事は地獄だった。
ほんの3時間程度の仮眠で40時間は働いたんじゃないかと思う。
今まで簡単な仕事ばかり回されていた俺にも背景、ケズリなどの仕事が回ってきた。

頭がくらくらして、今まで標的とされていたCさんがいなくなったことで先生も苛々していたように見えた。
俺は一刻も早くここを辞めたいと思った。
394 : 1 2010/09/12(日) 04:33:10.78 ID:Kd5WzAli0
Cさんが漫画家を目指すのを辞めると聴いたのはそれからまもなくのことだった。
実はCさんは既にデビューが決まっており、連載案も進行中だったのだが、
編集部へ一本の電話が入ると「もう漫画家は諦めます。今までお世話になりました」と消え入りそうな声で言ってきたらしい。
あれほどの叱責に耐え、努力し続けたCさんの漫画家への夢はこうして終わった。

これは同じ道を歩くもの同士にしか分からないことなのかもしれないけど、
俺はそれを聴いて本当に悲しくなった。
彼はもう漫画家としての命を捨て、新しい道へと歩き始めたのだ。
そして、未だ何も成し得ていない俺は、それでも夢から最後の指を外すことが出来ずに、
こうしてこの環境に身を投じている。


Cさんが消えて、次の標的になったのは俺だった。
398 : 1 2010/09/12(日) 04:39:01.08 ID:Kd5WzAli0
Cさんの仕事を引き継ぎ背景などを描くようになった俺だったが、
日に日にT先生の俺に対する風当たりはきつくなっていった。

「この背景どれくらいで描ける?」→「えっと3時間もあれば」
→「3時間?!遅過ぎるだろそれは。もっと高い目標を自分に課せよ」
→「えっと、それじゃ2時間で」→「よし頑張れ」
しかし結局3時間かかる背景。俺の場合4時間になることも多かった。
そして「何でこんなに時間かかってるんだよ!?2時間で出来るって言ったろ?」


…大体こんな流れが皮切りとなった。
そこから先はまるでCさんと同じ道をなぞるように、俺がCさんと同じ目に遭った。
400 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/12(日) 04:41:16.58 ID:GbkFNyI80
Cさんが駄目になった時点で常人なら辞めるレベル
403 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/12(日) 04:43:00.24 ID:QtxO1cJY0
俺ならもうやめてるな
404 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/12(日) 04:43:59.98 ID:OlShyhTV0
良くある責任が…
とか言って止められなくなっちゃってるパターンだろ
406 : 1 2010/09/12(日) 04:44:40.11 ID:Kd5WzAli0
何度も辞めたいと思った。
辞めようとも。

しかしT先生を納得させるだけの説明が思いつかなかった。
「きついので辞めます」ではT先生を通して編集部に悪い印象をもたれてしまう。
俺はその時そこの出版社にも持ち込みをしていたので、
その辺のいざこざで全てがおじゃんになってしまうのは避けたかったのだ。

またゼロから育ててもらった恩もある手前
「あなたのところはきついので他のところに行きます」というようなことは
面と向かって到底言えなかった。


そんな生活がひたすら惰性で一年近く続いた。
408 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/12(日) 04:46:37.26 ID:mVR1zMvF0
1年続いたってだけでもすげぇわ
409 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/12(日) 04:46:37.91 ID:f4DGDipc0
漫画家目指すならアシとかしないほうがよさそうだな

412 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/12(日) 04:49:57.17 ID:7v2hyKDH0
DV夫から逃れられないのと同じだな
精神的に支配されるとなぜか逃げるという選択肢が消えてしまう
415 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/12(日) 04:52:36.23 ID:EaFBCmw60
>>409
週刊作家のアシを始めると
自分の持ち込み用の漫画描いてる暇なんてほとんどなくなってしまうからね
月刊作家のアシなら月イチで何日か集中して入るケースが多いので
自分の原稿との折り合いを付けるには良いかも

そんな中こんな状況で何社にも持ち込みをしていた>>1は超人的だと思うよ
417 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/12(日) 04:54:29.65 ID:9o1dgYmI0
正直ただの馬鹿にしか見えない
420 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/12(日) 04:55:43.06 ID:GEzl7B9t0
ここまで頑張ってたんだからむしろデキる馬鹿だろ
421 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/12(日) 04:57:38.04 ID:jVFioMvB0
でもここまで頑張っても漫画家にはなれないんだろ…?
連載してる漫画家ってどんだけタフなんだよ…
414 : 1 2010/09/12(日) 04:52:28.44 ID:Kd5WzAli0
一年経って俺はようやく一つの作品を仕上げた。
一般人に比べたら遥かに安い給料で、
どうにかこうにか日々を凌ぎ、やっとの思いで上げた作品だった。

今までで一番出来のいい作品だったが、もう俺にはこれが最後の砦だった。
これを上手く連載につなげることが出来たら、穏やかにT先生のもとを離れることが出来るし、
自分も独り立ちできる。

T先生のいる出版社とは今まで自分が書いてきてボツを食らった作品を見せたりして
打ち合わせをしてきたけど、T先生とは正直縁を切りたかったので、
別の、更にグレードを落とした出版社に持っていくことにした。
422 : 1 2010/09/12(日) 04:59:55.92 ID:Kd5WzAli0
今まで培ってきた技術を全て詰め込んだ作品だった。
トーンも背景も入れまくり、素人に見せたら「すげええええ」と言わせる自信は今でもある。

作品のレベルは上がっている反面出版社のレベルは落としたんだ。
これはもう絶対に上手くいくだろう。
中学生が小学生のテストに挑むようなものだと、尊大なことを思った。
その確信があった。自信も。

出版社の編集に原稿を手渡し、
「すごい」と驚く顔になる瞬間を見るため、俺は下唇をかみながら編集の顔を凝視した。


しかし、編集の表情は特に変わらず、代わりに俺にこう言った。


「君、いくつ?」
423 : 1 2010/09/12(日) 05:03:34.78 ID:Kd5WzAli0
「え?」

唐突な質問にどきりとした。
俺は既にその時26歳になっていた。

漫画家志望がサバを読むというのはよくある話だったが、
今後この人ときちんとした人間関係を築くつもりならウソはいけない。
俺は正直に「26歳です」と答えた。


「おほぉ〜w結構いってるねw」


心臓が冷たくなった。
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425 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/12(日) 05:05:24.16 ID:CRJw6rwf0
26でも30でも受賞してるやつはしてるから
色んな所に持ち込めばよかったんじゃないかと
426 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/12(日) 05:06:11.87 ID:EaFBCmw60
>>1が時々見せる
出版社を格付けして見る姿勢は正直ちょっといただけない
427 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/12(日) 05:06:39.51 ID:OlShyhTV0
同じ原稿何社も持っていったりできるもんなのか
428 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/12(日) 05:07:03.65 ID:VDTcXNKt0
成功している漫画家の大半が16〜20でプロを目指しているということもあり
25までにデビュー出来なければ、限界と考えられる場合も  by13ハロワ

うわああああああああ
431 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/12(日) 05:07:55.67 ID:CRJw6rwf0
>>427
俺の友達は週ジャンに持ち込んで駄目だったけど
週マガに持ち込んだら担当付いたよ、俺もそんなだ

ある雑誌の賞では駄目だったから別の賞に送ったら
受賞できたし、原稿は一つの会社のものじゃないよ
432 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/12(日) 05:10:42.08 ID:m1Qrfmc+0
担当との相性もあるだろうしあっちこっちに持ち込んだほうが良さそうだよな
よくわからん漫画が急に人気になったりもするし
433 : 1 2010/09/12(日) 05:10:50.75 ID:Kd5WzAli0
漫画家に年齢なんて関係ない…というのは一応事実だが、
暗黙のボーダーラインがあるのもまた事実だ。

ジャンルによってそのラインは異なるが少年漫画なら大体25歳だと言われている。
25歳までにデビュー出来なければ、その先も厳しいだろう…というわけだ。
これは割と一般的に知られていることだし、俺も知っていた。

しかし、ここにくる時にはそのことを全く考えてはいなかった。
なぜなら俺は一応25歳までに「佳作」を獲ることには成功していたわけだし、
そういった意味ではレールには乗っていたからだ。
しかし、今までの出版社との関わりを全て絶ち、ゼロからのスタート、
「初めて現れる男」となった俺は、新人としては年齢を重ね過ぎていたのだ。


編集は「よく描けているけども…」と渋い顔をして俺の原稿をパラパラとめくり続けた

436 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/12(日) 05:15:47.21 ID:CRJw6rwf0
青年系の漫画家挙げて歳なんて関係ないって言う人もいるけど
青年漫画じゃ30代スタートってのも普通によくある話だからな

少年漫画は描き手が若くないと少年の気持ちになれないってのも
一つの理由にされてる感じだし仕方ないっちゃ仕方ないのかな…
442 : 1 2010/09/12(日) 05:20:10.97 ID:Kd5WzAli0
編集は終始暗く、
「特に言うことがない」というのをごまかすために、
何かを喋っている…という感じだった。
その言葉の中に好意的なものはなかった。

「アシスタントはしてるの?」と訊かれたので
「T先生ってご存知ですか?」と答えたら。
「ああ〜〜!もちろん知ってるよ!」と上機嫌になった。
彼が好意的になった唯一の瞬間だった。
その時ほどT先生と自分との差を実感したときはなかった。

こともあろうに俺は「悔しいな」とは思わず「凄いな、T先生は」と思ってしまったのだ。


そして編集が別れ際に言った台詞。
「これどうする?賞に出す?
出したとしても…まぁ奨励賞ってとこだと思うけど。
次の作品描くなら打ち合わせには応じますよ」
446 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/12(日) 05:24:19.94 ID:xgKVmaGg0
プロまでの道が複雑過ぎて才能有る新人がどんどん潰れていってそう
455 : 1 2010/09/12(日) 05:28:14.32 ID:Kd5WzAli0
その言葉にダメを押された俺は、
「いえ…、いいです。もうちょっと考えて見ます」
と小さく笑って自分の原稿を手元に手繰り寄せた。

今日、またイチからやり直すつもりではいたけど、
多分連載用ネームを切る…というところまでは一気にいくと思ってた。
原稿のレベル自体は上がっているのだから自惚れではない筈だった。
それなのに俺に突きつけられた現実は「再び奨励賞からの出直し」。

あのテンションの低い編集と打ち合わせを重ね、賞に出し、
何とか佳作か入選を獲り、そして連載用ネームを切り、
担当編集を通して、今度は編集長にokをもらって…

…って、一体どれだけの時間がかかるっていうんだ?

それまでずっと俺はあの現場でアシスタントを続け、この生活なのか?

そして、帰りの電車、窓に映る自分の顔を見つめながらこう思った。


「俺…、才能ねーんだ」
459 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/12(日) 05:30:11.69 ID:VDTcXNKt0
ああ……
480 : 1 2010/09/12(日) 05:35:46.74 ID:Kd5WzAli0
自分の降りるべき駅に着いたが、そのまま終点まで行ったのを覚えている。
そして何でもいいから気分転換に遊ぼうと思ったが、
全く俺には自分を持ち上げられるだけの発想が光らなかった。
金もなかった。

町の花壇の柵に腰を掛けて、携帯を無意味にいじった。

まだ返信していなかったメールに気付く。
友人からのメール。
「今度晴れて結婚することになった。ぜひ式に来てください」
という内容のもの。


目に涙が浮かんだ。
俺は行けない。

夢に敗れても友達は友達。
でも「今なにやってるの?」「漫画は順調?早く読ませてよ」
たったこれだけの質問が怖くて、俺は友人の晴れ舞台を見守ることを拒絶してしまった。


家に帰ったのは朝方だった。
482 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/12(日) 05:36:13.29 ID:BDmGjLuX0
これを漫画にしろよ
バクマン読んで夢見てる奴にこういう現実もあると突きつけてやれよw
484 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/12(日) 05:38:10.72 ID:zk5KfcJm0
これが現実か
504 : 1 2010/09/12(日) 05:45:51.98 ID:Kd5WzAli0
ひとつの出版社でダメでも別の出版社に持ち込め。
…というのはよく言われていること。
今手元にある原稿も別のところに持ち込めば光がさすかもしれない。
現に回る出版社の候補は色々あった。
3つくらいは回ってみようと思っていたのだ。

しかしあの編集のあの態度に打ちのめされた俺は、急に自分の原稿がつまらないもののように思えてきた。
一年間も掛けて仕上げた力作。
この一年、この作品が俺の全てだった。
しかし、この作品は誰の目にも留まらず、
誰からも読まれない。誰も必要としていない作品だった。
この作品を呼んだのはこの世界でたったの二人。俺と編集さん。
そのためだけの作品となってしまった。


持ち込みする気力を失ってしまった俺は、処分するつもりで別の雑誌にその原稿を投稿したが、
授賞する確立は低かったし、授賞したとしてもその道のりを考えると辟易とした。

つまり、これが俺の最後の作品。
夢は破れた。
518 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/09/12(日) 05:51:06.74 ID:tZYoZMTy0
日本のマンガレベルの高さが異常というのはあるが
こんなにも報われないものかね?
さすがにいたたまれなくなってくるわ
527 : 1 2010/09/12(日) 05:55:47.06 ID:Kd5WzAli0
翌週にはアシスタントの仕事があった。
もはや俺の獲る道は一つだった。
アシスタントを辞める。漫画業界からも身を引く。
26歳職歴なしだけど、あの現場に一年耐えた俺ならどんなブ/ラックでもやっていけるだろう。
今はただ、本当にただ、「俺は今〜〜やってるよ!」とムネを張って言える何かが欲しかった。 

今までの自信満々の頃の俺を知ってる知人にはしばらく会いたくないけど、
いつか自分に自信が持てるようになったら連絡を取ろう。
一発逆転なんて夢は無くても。
慎ましやかな人生で良いから生きていこう。
まずはハローワークにでも登録しようか。

…そう思うと、割と清清しい気分になれた。

そして翌週の仕事日。
アシスタントさん全員とT先生の前で「仕事をやめます」ときっぱりと伝えた。
541 : 1 2010/09/12(日) 06:03:03.41 ID:Kd5WzAli0
虚を突かれたという感じでT先生は「え?どうして?」と言った。
「見切りを付けました。漫画家は諦めて就職します」と答えたら、
それ以上は何も言わなかった。
周囲のアシスタントさんも何も言わなかった。
俺は依然最も叱責される回数が多かったし、
他のアシスタントさんには単なる逃げ口上のように響いたのかもしれないけど、
その言葉にウソはなかったから凛として発言できたんだと思う。


そして俺は完全なニートになった。

気が抜けて一ヶ月くらいは何となくハロワの募集ページを見るだけの日々を送っていた。


そんな時に再び、一本の電話が鳴り響く。
552 : 1 2010/09/12(日) 06:08:49.67 ID:Kd5WzAli0
「おめでとうございます。当社に応募いただきましたあなたの作品が入選に選ばれました」


なんですと!!?



それは最後のあの原稿を投稿した出版社からだった。
26歳職歴なし…これは本当に社会にギリギリなんとかまだ頑張ればカムバックできるかもしれない状態だ。
今、引き返せばまだ…、でも…、でも…。


希望は時として絶望以上に残酷だったりする。



次章 そして破滅へ編

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関連記事:【前編】・【中編】・【後編



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